「怖い絵展」ゾッとするけど目が離せない?話題の展覧会紹介

いよいよ夏本番、みなさんいかがお過ごしでしょうか?夏といえば、海、夏祭り、花火大会…などなど楽しいイベントが盛りだくさん。でも中には、「暑すぎて何もする気がおきない」という方もいるのではないでしょうか?

そんな方におすすめなのが、兵庫県立美術館で開催中の「怖い絵展」。ご察しの通り、テーマは「恐怖」のこの展覧会、中野京子氏(以下敬称略)著の『怖い絵』で紹介された作品を紹介する企画展です。

斬新なこの企画、見て楽しい、知って楽しい(見て怖い、知って怖い)こと間違いなしです。本記事では、暑い夏に「ひやっ」とできる「怖い絵展」と中野京子「怖い絵」シリーズについて紹介します。

1.「怖い絵展」とは?

「怖い絵展」は、「恐怖」をテーマに名画を展示する企画展です。兵庫県立美術館で2017年7月22日(土)から同年9月18日(月)まで、東京の上野の森美術館で同年10月7日(土)から同年12月17日(日)まで開催されています。

「怖い絵展」の基となるのが、作家・ドイツ文学者の中野京子が2007年に出版した『怖い絵』。本書は大ベストセラーを記録し、後にシリーズ化もしています。筆者も高校時代、『怖い絵』というタイトルに惹かれて図書館で手に取ったことを記憶しています。

今回の展覧会「怖い絵展」は、美術の知識がない人も「恐怖」を通して名画たちを理解できるよう工夫が凝らされています。「視覚的な怖さだけでなく、隠された背景を知ることで判明する恐怖まで」あらゆる「恐怖」が隠された絵画約80点は、「その怖さを読み解くヒント」と共に鑑賞できるようになっています。(公式ホームページ より)

展示は6章構成で、1章「神話と聖書」、2章「悪魔、地獄、怪物」、3章「異界と幻視」、4章「現実」、5章「崇高の風景」、6章「歴史」に分けられます。中野京子のいう恐怖の「多彩な顔」を味わえます(後述)。また、ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵の名画『レディ・ジェーン・グレイの処刑』も見どころです。初来日のこの作品は「怖い絵展」パンフレットや公式ホームページでも使用されています。

「怖い絵展」が注目を集めている理由はまだあります。本展覧会のナビゲーター・音声ガイドとして抜擢されたのは、人気女優・吉田羊さん(以下敬称略)。同氏はもともと絵画鑑賞からは足が遠かったものの、中野京子の『怖い絵』を読んで興味が湧いたとコメントしています(公式ホームページ参照)。「怖い絵」と吉田羊のコラボレーションが一体どんな形を作り上げるのか。展覧会に行く楽しみが一つ増えます。

 

2.「怖い絵」シリーズ著者・中野京子の思い

「怖い絵」シリーズの著者・中野京子は作家・ドイツ文学者で、講師として早稲田大学で教鞭を取っています。「怖い絵」シリーズに加えて、「名画の謎」シリーズなど、絵画に関する書籍を多く執筆しています。同氏はインタビューで、「感性だけの鑑賞は楽しみを損なうと思っていたので、絵の背景を知るともっと面白くな」ると伝えたかった、と振り返ります。

「怖い絵」シリーズ執筆にあたって「恐怖」をテーマとした理由は、「恐怖を知らない人はいないし、恐怖には多彩な顔があるから」。「生きているそのこと自体も怖いし、人間によって生み出された芸術も怖さを孕(はら)んでいると思」う、と自身の思いを語りました。今回の「怖い絵展」でも特別監修として協力しています。

 

3.「怖い絵」シリーズ紹介

本展覧会のきっかけとなった中野京子著『怖い絵』。2007年に出版され、大ベストセラーを記録。そのおかげか次々と続編が出版されます。ここでは、そんな「怖い絵」シリーズを紹介します。

『怖い絵』角川書店(2007年)

『怖い絵2』朝日出版社(2008年)

『怖い絵3』朝日出版社(2009年)

『「怖い絵」で人間を読む』NHK出版(2010年)

『怖い絵 泣く女篇』角川書店(2011年)

『怖い絵 死と乙女篇』角川書店(2012年)

『新 怖い絵』KADOKAWA/角川書店(2016年)

『怖い絵のひみつ。 「怖い絵」スペシャルブック』KADOKAWA(2017年)

2007年に『怖い絵』が出版されてから現在までの約10年間で、以後7冊もの「怖い絵」シリーズが出版されています。どれも負けず劣らず表紙のインパクトがありますね。ちなみに『怖い絵 泣く女篇』と『怖い絵のひみつ。 「怖い絵」スペシャルブック』の表紙は先程ご紹介した『レディ・ジェーン・グレイの処刑』です。中身に関しては…もちろん読んでのお楽しみです。

 

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