資生堂ギャラリー 新しい美の発見と創造

多くのビルが立ち並ぶ中央通りにある資生堂ギャラリー。ビル街から一歩足を踏み入れると、そこには非日常の幻想的な空間が広がっています。資生堂ギャラリーは、東京銀座資生堂ビルの地下1階に位置し、5m超の天井高をもつ銀座地区で最大のギャラリーです。時代やジャンルにとらわれない、様々な表現を可能にする場として海外からも注目を集めています。


資生堂ギャラリーが1919年にオープンして以来、開催された展覧会は3100回以上。日本で現存する画廊では最も歴史があります。「美術には詳しくないけれど、『資生堂ギャラリー』という名前は知っている」という方も多いのではないでしょうか?資生堂ギャラリーの活動は非営利で行なっているため、入場は無料。普段わざわざ美術館に足を運んで作品を観ることがないという方にも資生堂ギャラリーはオススメです。都会の中で気軽にアートの世界に触れることができることも、資生堂ギャラリーの魅力の一つです。

 

今回は、現在行われている「第11回 shiseido art egg」をご紹介。

 

資生堂ギャラリーの「shiseido art egg」とは?

資生堂ギャラリーでは、1919年にオープンして以来「新しい美の発見と創造」をテーマに活動をしています。その中の取り組みの一つとして2006年にスタートしたのが、「shiseido art egg 」。新たな時代を切り開く先進性を持ったアーティストの活動を応援するための公募展です。応募者の中から選考で選ばれた3人は資生堂ギャラリーを会場とし、3週間の展覧会を行うことができます。アーティストは学芸スタッフや専門スタッフと話し合いを重ね、様々なサポートを受けながら展覧会を作り上げていきます。また各展覧会の終了後、3名の審査員が3つの個展の中からshiseido art egg賞を選出します。資生堂ギャラリーをデビューの場として、これからさらに大きな世界へ羽ばたく、まさにアーティストの卵を育てる場となっています。

 

第11回となる本年度も、資生堂ギャラリーでは独自の視点を持ったアーティストの展示が行われています。本年度「shiseido art egg」として選ばれたのは、吉田志穂さん、沖潤子さん、菅亮平さん(以下全て敬称略)の3人です。


○吉田志穂展 〈写真〉

2017年6月2日(金)~6月25日(日)

○沖潤子展 〈刺繍〉

2017年6月30日(金)~7月23日(日)

○菅亮平展 〈インスタレーション〉

2017年7月28日(金)~8月20日(日)

 

 

先日まで開催されていた、沖潤子展。資生堂ギャラリーへ観に行かれなかった方のためにその余韻をおすそ分けいたします。

 

◉沖潤子展 『月と蛹』(資生堂ギャラリー)


まず今回のタイトルである『月と蛹』には、沖潤子のこのような想いがあります。「ある日、蛹(サナギ)の話を聞いたんです。外皮を成形し終えた蛹は、一部の器官を残してあとはドロドロに溶けてしまうんだそうです。びっくりしました。その蛹が小さな家の中で夜中じゅう手を動かしている自分の姿に重なりました。もうとっくに大人ですが、まだしばらくは羽化せずに神秘の中で蠢いていたい、という気持ちも含んでいます」。また、月が現れている間中、夜通し創作活動を行っている沖さんにとって、月は身体のリズムに近い存在なのだそう。

この展覧会では、蛹をイメージして様々な布を重ね合わせ刺繍を施した作品を中心に、伝言をテーマに針を題材にした作品や映像を用いた作品が展示されています。「布は皮膚であり、針を刺すのは記憶を留めるため」と語るように、個人の思いや物語を持った古い布たちが繋ぎ合わされ、たくさんの刺繍が施されています。それはまるで沖さんの手によって命を吹き込まれたかのよう。刺繍の繊細さとダイナミックさを兼ね備えた作品の数々…その迫力に息を呑むことでしょう。

次ページ:沖潤子の「針」

 

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