鈴木康広の作品6選 新しいモノの見方を提案するアーティスト

鈴木康広の作品⑤  『ファスナーの船』

海上を進んで行く巨大なファスナー。一体なぜこんなところにファスナーが…?とその大きさと意外性に衝撃を受けるのではないでしょうか。 これは、海を進む船の引き波をファスナーに見立て、ファスナーのスライダーの形をした船が、海を「開いていく」というものです。鈴木康広は、ファスナーの形をした船が海を進むと、その航跡がまるで海原を開いているように見えることを思いつきこの作品を制作しました。

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鈴木康広は、海を「開く」というコンセプトから広げ、地球を「開く」というイメージをいかに多くの人と共有できるかを考えました。今見えている世界とは別の世界を見たい、もうひとつの世界を描きたい、という思いがあったのです。

地球を開いていく様子をスケッチをしていく過程では、最後に何が出てくるのか、どこに行き着くのかわからなかったそうです。そして着想から8年経った2010年の瀬戸内国際芸術祭で、ファスナーの船はついに実現を果たしました。

小さいながらも、私たちの生活を大きく支えているファスナー。そのファスナーが、鈴木康広の手によって大海原を開くという壮大な作品に姿を変えました。斬新なアイデアとユーモアに富んだ作品は、まさに鈴木康広の真骨頂と言えます。   この作品は、現在開催中の「Reborn-Art-Festival 2017」にも出品されています。

Reborn-Art-Festivalとは宮城県石巻市を中心に行われている「アート」・「音楽」・「食」が一度に楽しめる新しいお祭りです。それぞれのアーティストがジャンルを超えて共に東北の夏を盛り上げています。開催期間は、9月10日(日)まで。こちらの記事で見所をたっぷりとご紹介しています。

 3つの見所! Reborn-Art Fesrival(リボーンアート・フェスティバル)

 

鈴木康広の作品⑥  『空気の人』

大きな透明の人形が空中に浮かんだ作品。この人形はオーガンジーの中で最も軽いとされる繊維を用いて作られています。人形の中には人体中の空気とヘリウムを調合した気体が封入されており、人体の浮力と繊維の重力による均衡を表現しています。

室内の展示の際には、床の部分にヒーターを設置しています。これは、ヘリウムが温まると軽くなって浮くという性質を利用して、空間の温度を見せる作品となっているのです。中の気体が温まり軽くなって上に行くと、やがて気体が冷えて下に降りてくる。そしてまた床で温められると、天井に吸い上げられるかのように上がって行く。人形が上下に循環する動きは、人の輪廻転生を思わせます。まるで無重力の空間を人が漂っているかのような、不思議な感覚ですね。

また屋外ではこのように、巨大な「空気の人」が寝そべる展示も行われています。

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ここまで鈴木康広の6作品をご紹介しました。公園や海、広場などパブリックスペースにおける展示が多く見られましたね。そうした場で作品を展開することは、鈴木康広のアートに対する考え方と深く関係しています。

鈴木康広のアートへの思い

「アート」というと、どこか近寄りがたく、難しいイメージを抱く人も多いですよね。鈴木康広は、そうした人にも作品を見てもらうためには、作品を「アートだと思わせてはいけない」と考えています。芸術の一言で片付けられてしまっては、作品を見てもらえない。興味の入口をどう作るかが重要である。そうした考えから生み出された作品は、見た目の面白さと親しみやすさがあります。

一方で美術の世界には、美術館や映画館に積極的に作品を観に来る人にだけ、伝われば良いという考え方もあります。しかし鈴木康広は、作品を理解してもらうことよりも、まずは見てもらうことが大事だとしています。

「もちろんそういう場(美術館や映画館)に独特の豊かな解釈や対話も生まれるでしょう。でも既に出来上がったフレームで作品を眺めても、どこか物足りない。そこに来るはずのなかった人たちにちょっかいを出して、見るきっかけを作りたい。そこにはおのずと新しい『言語』が必要とされて、人が動き始める。そこが自分にとってはスリリングなんです。アートのためにアートを作るわけじゃない。誰かに見せたいシンプルな気持ちって結構大事かなって…」(CINRA.NET インタビューより)

 

最後に、現在開催中の個展について紹介致します。

 箱根 彫刻の森美術館 「鈴木康広 始まりの庭」

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彫刻の森美術館では、現代の創作表現を紹介する展示を継続的に行なっています。そのシリーズの第7回として現在開催されているのが、「鈴木康広 始まりの庭」です。鈴木康広にとっては、2014年の水戸芸術館での個展以来、ロンドン・デザイン・ビエンナーレ2016を経て、新たな一歩を踏み出した展覧会となっています。 「始まりの庭」というタイトルは2008年に21_21 DESIGN SIGHTで開催された、三宅一生ディレクション「21世紀人」展に出品した屋外でのインスタレーション作品からきています。結露という現象から人間と環境を取り巻く様々な現象を連想し、見立てるための場を作りました。そして、人が自然との連続性を保ちながら生きていくヒントを見出すための場を「始まりの庭」と名付けたそうです。 メインの会場となっている本館ギャラリーは性質の異なる3つの展示室で構成されています。そこでは、新作10点を含む62点が展示されています。また第2会場のマルチホールでは、鈴木康広の代表作品『まばたきの葉』と、“まばたき”をテーマにした作品4点が展示されています。

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展覧会情報:「始まりの庭」

【会期】2017年8月5日(土) – 2018年2月25日(日)
【会場】彫刻の森美術館 本館ギャラリー / マルチホール 〒250-0493 神奈川県足柄下郡箱根町ニノ平1121
【開館時間】9:00~17:00(入館は閉館の30分前まで) 【休館日】なし
【入場料】大人1,600円 / 大・高校生1,200円 / 中・小学生800円
【電話】0460-82-1161
【アクセス】 [電車]小田原駅→箱根湯本駅→箱根登山鉄道「彫刻の森」駅下車、徒歩2分 [バス]小田原駅→箱根湯本駅→箱根登山バス、伊豆箱根バス「二の平入口」下車、徒歩5分 箱根登山観光施設めぐりバス「彫刻の森美術館」下車     詳細はこちらからご確認ください。↓   箱根の森美術館 公式HP: http://www.hakone-oam.or.jp/exhibitions/article.cgi?id=829660

 

 

いかがでしたか?ユーモア溢れる作品の数々は見る人を惹きつける、不思議な力を持っていますね。鈴木康広の作品は、誰もが楽しめる親しみやすさがありながら、非常に奥が深いものばかり。わたしたちの日常に新たな発見と驚きを与えてくれます。もっと作品を見たい、と興味を持った方はぜひ個展にも足を運んでみてください。

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