ワタリウム美術館 知る人ぞ知る異彩の現代美術館

東京都渋谷区神宮前。最先端のトレンドが集まるこの地に、一際目を引くスタイリッシュなビルがあります。ワタリウム美術館と名付けられたその建物の中では、最先端のコンテンポラリーアートの数々が展示され、斬新で独創的な展覧会が次々と開催されています。展覧会を開くたびに注目を集め、着実にファンを増やし続けているワタリウム美術館。そんな美術館を支えているのは、アートに人生を捧げたある親子の存在でした。今回は東京の地で異彩を放ち続けるワタリウム美術館の魅力と、話題となった展覧会をご紹介します。

ワタリウム美術館のあゆみ

shilaさん(@shila1026)がシェアした投稿

ワタリウム美術館は1990年9月に開館した私設美術館です。始まりはこの地に移り住んだ和多利志津子氏(以下敬称略)が、木造の自宅に開いたギャラリーでした。「ギャルリーワタリ」という名のその小さなギャラリーでは、ドナルド・ジャッド、ナム・ジュン・パイク、アンディ・ウォーホルなど、70~80年代の欧米のアーティストを中心に、国内外の様々なアーティストの個展を開催。アーティストと交友を重ねながら、最先端の現代アートを発信し続けていました。

母親である和多利志津子の影響を受け、息子の和多利浩一氏(以下敬称略)は大学1年生の時、姉の恵津子氏(以下敬称略)とともにギャラリーの向かいに「ON SUNDAYS」という現代アートのショップをオープン。設立メンバーは4人全員が学生で、大学に通いながら木~日曜にショップを営業していました。そして1990年に「ギャルリーワタリ」と「ON SUNDAYS」を合体させる形で「ワタリウム美術館」をオープンさせ、浩一と恵津子はキュレーターとして活動を始めます。

現代アートだけでなく建築家や詩人など注目した人物には直接会って交渉し、長い時間をかけて理解を深めることから始めるという一貫したスタイルで、話題の展覧会を次々と開催していったワタリウム美術館。その他にもさまざまなワークショップや子供たちを対象とした講座の開講など、日本における現代アートの発展にも力を注いでいます。2012年、和多利志津子が80歳で亡くなった後は、和多利浩一がCEO、恵津子が館長を務め、母の思いを引き継いでいます。

参考:
ワタリウム美術館について
学生起業でアートを事業化 個性溢れる現代アート美術館 和多利 浩一(ワタリウム美術館 CEO)
和多利志津子(東京文化財研究所)

 

 ワタリウム美術館と建築家マリオ・ボッタ

シンメトリーなデザインと横ストライプ模様が特徴的な建物は、スイス人建築家のマリオ・ボッタによる設計です。彼の作品の写真を見て即決した和多利志津子は、すぐにイタリアへ飛び交渉を開始しました。当時マリオ・ボッタは主に住宅建築を手がけていて、美術館建築も日本でのプロジェクトも初めてのことでしたが、「やりましょう!」と即答。こうして1985年にワタリウム美術館の建設プロジェクトが始まりました。

しかし三角形の敷地や日本の厳しい建築基準法に悩まされ、当初1986年に完成予定だった計画はなんと5年にも及ぶ長いプロジェクトとなりました。その間マリオ・ボッタは17回来日し、700枚以上のスケッチを残しました。こうして完成したワタリウム美術館は、デザイン性に優れているだけでなく、簡単に張り替え可能な壁や搬入口として利用できる大きな窓など、美術館としての実用性にも優れた建築物となっています。

参考:
アート、建築、街、 その先を! 和多利浩一 / koichi Watari
Casa BRUTUS (カーサ・ブルータス) 2016年 3月号

 

ワタリウム美術館で現在開催中の展覧会

「Big Sky Little Moon バリー・マッギー+クレア・ロハス展」

HÅRさん(@haru_kim)がシェアした投稿

JUAI ONOさん(@juaiono)がシェアした投稿


サンフランシスコ出身のグラフィティ・アーティスト、バリー・マッギーは、80年代からグラフィティ界のパイオニアとして活躍し続けてきました。「TWIST」という名でストリートを中心に活動すると同時に、1998年には、サンフランシスコ近代美術館で巨大な壁画を制作。さらにミネアポリスにあるウォーカー・アート・センターで初の個展を開催し、全米アートシーンに大きな衝撃を与えました。

ワタリウム美術館で10年ぶりに開かれるバリー・マッギーの展覧会「Big Sky Little Moon」では、社会が大きく揺れ動く現代に生きる若者たちに向けたメッセージとともに、新作の大型インスタレーションや、長年のパートナーであるクレア・ロハスの作品、そして2人が現地で制作したコラボレーション作品などを展示。ミュージアムショップ「ON SUNDAYS」でも展覧会限定のオリジナルグッズなどが並びます。

 ワタリウム美術館 展示開催概要

【名称】「Big Sky Little Moon バリー・マッギー+クレア・ロハス展」
【開催期間】2017年6月24日(土)~10月15日(日)
【休館日】月曜日(7/17、9/18、10/9は開館)
【入館料】
大人:1,000円、学生(25歳以下):800円、小・中学生:500円、70歳以上700円
ペア券(大人2人):1,600円、ペア券(学生2人):1,200円
メンバー・トライアル(会期中何回でも入場可能):1,500円

参考:Big Sky Little Moon バリー・マッギー+クレア・ロハス展(ワタリウム美術館公式HP)

 

次ページ:ワタリウム美術館で開催された「音の展覧会」

 

1

2

関連記事

  1. 直島 地中美術館 モネ作『睡蓮』を彩る建築と光  

  2. 奈義町現代美術館 アートを身体で感じる3つの部屋

  3. 「走る美術館」現美新幹線 号車別アーティスト紹介

  4. 銀座 メゾンエルメスの紹介 180年間続く美の追及 

  5. 十和田市現代美術館の作品5選 まちに溶け込むアートとは

  6. 富山県美術館 7つの魅力 人・アート・デザインをつなぐ場所

  7. トリックアート美術館5選!撮って触って楽しいアート

  8. 金沢21世紀美術館 まちと人をつなぐアート作品6選

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。