やくしまるえつこ作品紹介 独自の世界観が紡ぐアートとは 

やくしまるえつこの作品紹介『わたしは人類』

『わたしは人類』は、やくしまるえつこがバイオテクノロジーを駆使して制作した作品です。微生物シネココッカスの塩基配列を元に楽曲をつくり、DNA変換後、再度同じ微生物に組み込みました。音源は世界配信され、微生物は培養されています。

彼女は、音楽とDNAに同じような役割を見出しています。音楽が思いをリズムやメロディ、言葉にのせて伝達するものならば、DNAは生き物が生存するために必要な記録を何世代にも渡って伝達するからです。本作品は、人類が存在する前や、存在がなくなったあとも残り続ける「記憶」「記録」を意識して作られています。やくしまるえつこ自身が「自分の死後の世界も考えながら活動している」と発言しており(WIREDインタビュー)、その視点はまさに地球から遠く宇宙から覗いているのでは、と思わせます。

 

金沢21世紀美術館「コレクション展2 死なない命」


「AIやロボットが仕事をする時代がくる」、「クローンや遺伝子組み換えによって農作物や家畜がつくられる」など、遠い未来の話であったような出来事は、現実に起こり始めています。「生命の編集」、「機械との共存」、「不死」といったテーマをよく目にするようになった昨今。人工知能や遺伝子工学の発達がすすむ中で、科学者や専門家だけでなく、一般市民にも生命観や倫理観が問われはじめています。そんな「いま」に向けた展示が金沢21世紀美術館で行われています。展覧会「コレクション展2 死なない命」は、やくしまるえつこの『わたしは人類』の展示をはじめ、今後出会うことになるかもしれない「死なない命」のあり方や、「新たな生命を造形する意味」、「人工的な自然を生きることの可能性」といった、すぐ近くの未来にあり得る問題を考える作品を展示しています。

出展には、やくしまるえつこ、エドワード・スタイケン、BCL、ダミアン・ハースト、ヴィック・ムニーズ、日比野克彦、八谷和彦、ヤノベケンジ、粟津潔、川井昭夫、イ・ブル、椿昇、Chim↑Pom、13組の錚々たるアーティストが参加します。生命の「いま」と「これから」を人々はどう捉えていけばいいのか、考えさせられる展示です。

概要:コレクション展2 「死なない命」
期間:2017年7月22日(土)〜2018年1月8日(月)
開館時間:10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
会場:金沢21世紀美術館 展示室1〜6(展示室5、光庭は11/11から)
料金:一般=360円、大学生=280円、小中高生=無料、65歳以上の方=280円

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やくしまるえつこの纏う雰囲気や織りなす世界観は、なんとも掴めない不思議な世界観なものです。でもつい気になってしまうのは、いつも私たちの少し先の視点から、世界や社会の本当の姿をポップな音に乗せて伝えようとしているからではないでしょうか。今後も目が離せません。

(敬称略)

参考:
相対性理論公式HP
やくしまるえつこ公式HP
金沢21世紀美術館公式HP&d=1751
相対性理論(音楽ナタリー)
微生物に私は人類と言わせたい やくしまるえつこ 音楽と微生物をめぐる対話(WIRED JAPAN)
やくしまるえつこが語る、さまざまな「境界」と相対性理論 (CINRA. NET)

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