「走る美術館」現美新幹線 号車別アーティスト紹介

夏の夜空のような黒い車体に浮かび上がる、色鮮やかな長岡の花火。2016年に誕生した『GENBI SHINKANSEN/現美新幹線』は、「走る美術館」という斬新なコンセプトが注目を集め、運行開始から大人気となりました。またスタイリッシュなデザインから、駅にはその姿を写真に収めようとする人たちの姿があふれています。

印象的な外観はもちろん、車内も現代アートで埋め尽くされています。各車両では、今注目のアーティストたちが手がけた、新幹線という空間ならではの作品の数々を楽しむことができます。今回はそんな話題の現美新幹線のコンセプトや、魅力的なデザインを手がけたアーティストたちをご紹介します。

 

「走る美術館」現美新幹線とは? 

JR東日本はこれまで、車両全体にピカチュウがデザインされた『POKEMON with YOU トレイン』や、「銀河鉄道の夜」の世界観をイメージした『SL銀河』など、単なる移動手段ではなく乗ることが目的となるような「乗って楽しい列車」を数多く生み出してきました。そして2016年4月、今まで見たこともない新しい列車がまたひとつ誕生しました。それが「走る美術館」をコンセプトとした『GENBI SHINKANSEN/現美新幹線』です。

現美新幹線の総合プロデュースを務めるのは、2013年に東北の八戸線を走るレストラン列車『TOHOKU EMOTION』をプロデュースしたTRANSIT GENERAL OFFICE。新潟で世界最大級の国際芸術祭が開催されていることや、運行区間にトンネルが多かったことなどから、車内で美術鑑賞ができる「走る美術館」というコンセプトが誕生。移動手段のひとつでしかなかった列車の車内でも、楽しみながらアートに親しんでもらおうと企画されました。

現美新幹線の車両は、秋田新幹線として使用されていたE3系新幹線を5億円かけて改装したもの。通路は黒を基調とした落ち着いたデザインで、それぞれの車両は座席数を減らし、ゆったりとした空間づくりがされています。運行区間は上越新幹線の「越後湯沢〜新潟間」で、土日祝日を中心に運行。また、今年の10月8日には秋の新潟観光キャンペーに合わせ「大宮〜新潟間」で運行されました。11月13日には大宮駅で車内も見学できる展示イベントが開催されるなど、今後は新潟以外での運行や展示も期待されます。

 

現美新幹線エクステリア 蜷川実花

 

Naoさん(@noji2.0)がシェアした投稿


現美新幹線のエクステリアデザインを手がけたのは、独特の色彩美で高い人気を誇る写真家の蜷川実花氏。映画監督や水族館のプロデュースをはじめ、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会理事に就任するなど活躍の場を広げています。

2014年から撮り続けていたという長岡の花火が大胆にあしらわれた車体は、従来の新幹線とは一線を画すような斬新なデザイン。車体そのものが美術品であり、走る姿は周りの風景までもアートの一部にしてしまうようなインパクトがあります。

 

現美新幹線11号車 松本尚

11号車は普通車指定席ですが、シルク布地や絨毯、壁紙などを用いたインスタレーションを中心に活動するアーティスト・松本尚氏がデザインを手がけた特別車両です。元は「こまち」のグリーン車だったため、座席もゆったりとしています。

「五穀豊穣」「祝祭」「光」をコンセプトイメージとし、座席やカーテン、床にまで美しいインスタレーションが施されています。トンネルが多い区間であることを生かし、カーテンを下ろしていると、トンネルに入った瞬間に作品が現れ、トンネルを出た瞬間に作品が消えて光が差し込むという、現美新幹線ならではのアート体験ができます。

 

現美新幹線12号車 小牟田悠介

えみさん(@emi_ryo)がシェアした投稿


12〜16号車は誰でも出入り自由な空間。窓側にはソファが並び、反対側の壁一面に様々なアーティストがインスタレーションを展開しています。12号車の壁には、折り紙の展開図をモチーフにした絵画や、動く立体作品などで知られる小牟田悠介氏がデザインした、鏡面ステンレスを使用したアート作品が施されています。

モザイクアートのように配置された鏡には、車窓に広がる新潟の風景とともに車内にいる人々が映り、まるで自分がアートの一部になったかのような体験ができます。また、壁一面が鏡になっているため、実際よりも車内が広く感じられ、ゆったりとしたひと時を過ごすことができます。

 

現美新幹線13号車カフェ 古武家賢太郎


13号車には、新潟県内の菓子工場「十日町健やかファクトリー」と菓子研究家・いがらしろみ氏がコラボレーションした、新潟の食材を使用したスイーツや、燕市にある人気のコーヒー店「ツバメコーヒー」のコーヒーなどが販売されているカフェがあります。

壁には、現美新幹線の走る旧道「三国街道」を中心に、上越の風景を描いた古武家賢太郎氏の絵画が並びます。鮮やかな色使いと温かみのある画風は、車内全体を明るい空気で包み込み、ほっとひと息つける優しい空間になっています。

 

車内にキッズスペース?paramodelの作り出すアート空間  

 

1

2

関連記事

  1. 十和田市現代美術館の作品5選 まちに溶け込むアートとは

  2. 松本市美術館 草間彌生ワールド全開?地域に根差した美術館とは

  3. 富山県美術館 7つの魅力 人・アート・デザインをつなぐ場所

  4. 原美術館 アートにあふれた都会のオアシス

  5. 21_21 DESIGN SIGHT 「デザイン」を見つめ発信する美術…

  6. 金沢21世紀美術館 まちと人をつなぐアート作品6選

  7. ワタリウム美術館 知る人ぞ知る異彩の現代美術館

  8. 「怖い絵展」ゾッとするけど目が離せない?話題の展覧会紹介

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。