十和田市現代美術館の作品5選 まちに溶け込むアートとは

近年地方の過疎化に伴い、その必要が叫ばれている「まちおこし」や地方創生。その一環として、アートを生かしたまちづくりに取り組んでいる自治体があります。

青森県十和田市では、市のシンボルロードにある十和田市現代美術館を中心に、「アートの街」「感動創造都市」づくりに取り組んでいます。何といっても、おもしろいのはそのコンセプト。一体どんな計画、美術館なのでしょうか。

開かれた美術館 十和田市現代美術館

十和田市現代美術館は、「アートを通した新しい体験を提供する開かれた施設」というコンセプトのもとArts Towada計画の中核となる施設として2008年に開館しました。

Arts Towadaとは、十和田市のシンボルロード・官庁街通りに増えた空き地にアート作品を展開、通り全体を「ひとつの美術館」として活性化させる取り組みです。世界でも稀なこの取り組みは、魅力的で美しい景観を作り出す、未来へ向けた新しい街づくりの一環と位置付けられています。


そんなArts Towada計画の中心施設である十和田市現代美術館。最大の特徴は、個々の展示室が独立した建物になっていることです。設計を担当したのは、石川県の金沢21世紀美術館や香川県の豊島美術館の設計も担当した 西沢立衛 (にしざわ・りゅうえ)氏。白いカラーボックスのような展示室たちが、官庁街通り沿いに並びます。

この展示室を分散する構想のおかげで、「それぞれのアート作品に合わせて建築空間をつく」り、「両者がより密接な関係を結ぶ」ことができます。「アートのための家」と称された個々の展示室は、官庁街通りの一部として、まちの一部としてその存在感を放っています。

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十和田市現代美術館の常設展では、十和田市現代美術館でしか見れない恒久設置作品を楽しむことができます。さらに、館内にはカフェスペースや市民活動スペースが設置されているなど、文化芸術活動の拠点としての役割も担う施設です。それでは、そんな個性あふれる十和田市現代美術館の作品を5点紹介していきます。

 

十和田市現代美術館の作品①『スタンディング・ウーマン』 ロン・ミュエク

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最初の展示室では、高さ4mもの婦人が待ち構えています。その桁外れなスケールとは裏腹に、細部まで追求されたリアリティに驚かされます。窓の外を凝視する目と、眉間によった皺。どこかもの哀しさを宿している表情を見ていると、まるで彼女が生きているかのような不思議な感覚に襲われます。

この作品の作者であるオーストラリア出身のロン・ミュエク氏は、もともとテレビ番組の人形制作を行っており、1,999年に『Boy』を制作しアーティストとして注目を浴びます。この作品も高さ4.5m、重さはなんと500kgの巨大な「少年」です。本作品と同様、その精度は圧巻。リアルなだけに、威圧感も増します。

 

十和田市現代美術館の作品②『念願の木』オノ・ヨーコ

彼女の名前を知らない人は少ないでしょう。世界的ミュージシャン・ジョン・レノン氏の妻であり、美術、音楽、パフォーマンスなど幅広い表現活動で知られるオノ・ヨーコ氏(以下敬称略)の作品です。

彼女の代表作でもある『念願の木』が、『三途の川』『平和の鐘』という他の作品と共にインスタレーションとして十和田市現代美術館の中庭に展示されています。『念願の木』は、1996年からオノヨーコが世界各地で行ってきた平和を祈願するプロジェクトで、来館者が自分の願い事を短冊に書き、木に吊るしていくという参加型の作品です。

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用いられるのは、青森の名産であるリンゴの木。短冊は1年に1度オノ・ヨーコの元へ届けられ、アイスランドの『イマジン・ピース・タワー』の台座におさめられます。ちなみに、この『念願の木』になったリンゴは、運がよけば美術館で配布されるそう。十和田市現代美術館で、オノヨーコの平和への思いを感じてみてはいかがでしょう

 

十和田市現代美術館の作品③愛はとこしえ十和田でうたう』 草間 彌生

オノヨーコに続き、日本を代表するアーティストの一人である草間彌生氏(以下敬称略)の作品が、十和田市現代美術館の向かい側にあるアート広場に展示されています。

広場には、草間彌生の代名詞ともいえる水玉模様の世界がひろがっています。ぱっと明るい水玉模様のかぼちゃ、少女、キノコ、犬たちの8つの彫刻群は、その色合いと華やかさからまるで踊っているようにも見えますね。十和田市のパワースポットとも思えるほどに、エネルギーに溢れています。まちと共存し、溶け合うアート。十和田市現代美術館の魅力を体現したような作品です。

 

 

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