フルーツを下着に。トイレットペーパーをフィルムに。こぼしたコーヒーをネクタイに。その類稀なる発想力で、次々と斬新な作品を生み出し続けるアートディレクター・吉田ユニ氏(以下敬称略)。名前は知らなくても、多くの人がその作品を目にしているはずです。
有名企業やアーティストからのオファーが絶えない吉田ユニの作品には、女性らしい可愛さと子供のような遊び心が詰まっています。今回はそんな吉田ユニの経歴と、代表的な作品を振り返るとともに、あらゆる人を虜にするその魅力に迫ります。
吉田ユニの経歴
1980年、東京で生まれた吉田ユニは、子供の頃から絵を描いたり工作したりすることが大好きな女の子でした。ひとり遊びをすることが多かったそうですが、その遊びがなんとも独創的。
例えば耳かきの綿の部分にベビーパウダーをつけて、黒い紙とセロハンテープで家中の指紋を採取する「鑑識ごっこ」や、ピンク色の練り消しと白い粘土で精巧な入れ歯を作って行う「歯医者さんごっこ」など。幼少時から一人で黙々とリアルを追及することに楽しさを感じていたようです。
そんな吉田ユニは女子美術大学付属の中学校に進学。中学、高校と絵画コースで油絵などを学んでいましたが、大学では新しいことに挑戦しようとグラフィックデザインを専攻。広告の授業を受けるなかで大貫卓也氏の作品に出会い、卒業後、大貫デザインに就職します。
b+ab Fall 07
b+ab Winter 07
それから3年程経った頃、大学時代から親交があった野田凪氏に誘われ、宇宙カントリーにアートディレクターとして所属。その時初めてアートディレクターとして手がけた香港のアパレルブランド「b+ab」の広告は、女の子の部屋を下から見るという斬新な表現が話題となりました。
2007年に独立した吉田ユニは、ラフォーレ原宿・Zoff・メルセデスベンツなどの広告や、perfume・木村カエラ・CHARAなどのCDジャケットデザイン、ファッション雑誌「装苑」での連載など、多岐にわたって活躍。2014年にはラフォーレ原宿で初の個展を開催するなど、若い女性を中心に絶大な人気を誇っています。
台湾 新光三越 SUMMER SHOPPING FESTIVAL
吉田ユニの作品はCGに頼らずリアルにこだわって製作されています。台湾の新光三越のポスタービジュアルでは、下半分が水の中に見えるように、ハシゴや本、バッグに至るまで、実際に歪んだものをわざわざ作っています。デジタルとアナログでは仕上がりの奥深さが違うと語る吉田ユニ。リアルへの追求心は幼少時代から変わらないようです。
参考:
吉田ユニ インタビュー(PUBLIC-IMAGE.ORG)
田 ユニ(アートディレクター)渡辺 潤平(コピーライター)(Qorretcolorage)
吉田ユニの初個展が、ラフォーレミュージアム原宿にて開催!(ELLE girl)
吉田ユニ×星野源
吉田ユニの作品は、誰しも一度は目にしたことがあるというものが多数ありますが、その中でもミュージシャンの星野源氏(以下敬称略)のアートワーク作品は、最も世間に知れ渡った作品といえます。
星野源 「YELLOW DANCER」
2015年にリリースされたアルバム「YELLOW DANCER」のジャケットは、一見すると人の頭部のようなシルエットですが、よく見ると本やお皿などが積み重なってできています。この斬新でユニークなデザインは高く評価され、候補50作品から一般投票で選ばれる「ミュージック・ジャケット大賞2016」の大賞にも選ばれました。
星野源 「恋」
星野源 「MUSIC VIDEO TOUR 2010-2017」
鮮やかなイエローが印象的な「恋」のジャケットでは、白いシャツの腕の部分に女性の手が描かれ、星野源はまるでその手に引っ張られているようです。シンプルな中にもエッジの効いたこのジャケットデザインは、曲の大ヒットとともに大きな注目を集めました。また、今年発売されたミュージックビデオ集「MUSIC VIDEO TOUR 2010-2017」では、トイレットペーパーをフィルムに見立てたジャケットが話題を集めました。
星野源 「Family Song」PV
今年8月にリリースされた「Family Song」では、ジャケットだけでなくPVのアートワークも担当。全国のタワーレコード5店舗で美術展示が行われ、年間の最も優れたミュージックビデオを選出する「MTV VMAJ 2017」において、「Best Video of the Year」を受賞しました。その他にも今年3月に発売されたエッセイ集「いのちの車窓から」の装丁や、ツアーグッズのデザインなども担当。星野源からも絶大な信頼を得ているようです。
参考:
「ミュージック・ジャケット大賞2016」受賞作品発表! 大賞は、星野源『YELLOW DANCER』(一般社団法人レコード協会)
星野源、新曲PVの美術展示が5会場で 吉田ユニによるピンクの美術を展示(CINRA. NET)
VIDEO MUSIC AWARDS JAPAN 2017公式HP
星野源 待望の最新著書『いのちの車窓から』カバーが完成! エッセイとしては異例の初版12万部スタート!!(ダ・ヴィンチニュース)
吉田ユニが手掛ける”おいしそう”な渡辺直美!?
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