舘鼻則孝 ヒールレスシューズがつなぐ伝統文化と現代アート

ミュージシャンのレディー・ガガ氏(以下敬称略)の写真で見かける、一見ブーツのような、不思議な細長い靴「ヒールレスシューズ」。このユニークな靴を作っているのがアーティスト・舘鼻則孝氏(たてはな のりたか、以下敬称略)です。靴だけではなく近年様々な分野で活動の場を広げている舘鼻則孝と、最新の作品の数々をご紹介します。

 

舘鼻則孝のプロフィールは?


舘鼻則孝は1985年に東京に生まれ、神奈川県鎌倉市で育ちました。実家は新宿区の歌舞伎町で銭湯「歌舞伎湯」を営む家系でした。舘鼻則孝の母は人形作家であり、栄養士でもありました。その母が幼少期の舘鼻則孝に伝えたことは、「欲しいものがあれば自分で作る」という、いわばアーティストとしての姿勢だったといいます。

舘鼻則孝がファッションに興味を持ち出したのは高校生のころ。当時の舘鼻則孝は内向的な高校生だったため、彼はファッションを創造して人と繋がる、というコミュニケーションスタイルを取ろうと考えたのです。その後、世界で活躍するためには日本の文化やファッションを学ばねばという思いのもと、舘鼻則孝は東京藝術大学に入学しました。東京藝術大学での彼は工芸科にて染織を専攻、伝統的な友禅染の手法を使った着物や下駄を製作する一方、日本の遊女である花魁(おいらん)の文化を研究しています。

 

舘鼻則孝は東京藝術大学の卒業制作で、花魁の履く高下駄にヒントを得た「ヒールレスシューズ」を製作、発表しました。のちにこのヒールレスシューズはレディー・ガガの目に留まり、彼女が愛用したことで舘鼻則孝の名は一挙に世界に知られるようになります。

大学卒業の年に、舘鼻則孝は自分のファッションブランド「NORITAKA TATEHANA」を設立。近年ではファッション分野だけにとどまらず、個展などへ出品するアート作品の制作、パリでの文楽公演の舞台美術、レストランのディレクションなど、幅広い分野でアーティストとしての活躍を続けています。

参考:
「日本文化を世界に伝える」 舘鼻則孝さん(Asahi Shimbun Digital)
NORITAKA TATEHANA/舘鼻則孝—編集長×気鋭デザイナー対談 Part 12—(VOGUE JAPAN)

 

レディー・ガガの愛用品 舘鼻則孝のヒールレスシューズとは?

先ほどから名前の挙がっている「ヒールレスシューズ」は、一体どんな靴なのでしょうか。ヒールレスシューズはその名の通り「かかとの部分がないシューズ」。シンプルな革のものもあれば、クリスタルやスタッズをあしらった豪華なものなど、素材やデザインは多岐に及びます。レディー・ガガの愛用するヒールレスシューズの中には、ガガの注文で作られた「レディー・ポワント」など、びっくりするぐらい背の高いものもあります。

大学時代に花魁の文化を研究していた舘鼻則孝は、「日本のアバンギャルド(前衛芸術)」を表現していた存在として、江戸時代の花魁たちとその文化を前向きに捉えていました。卒業制作として作ったヒールレスシューズはそんな思いから誕生したものでしたが、制作当時、誰にもこの靴は理解されなかったと言います。

 

しかし転機は大学卒業直後に訪れます。2010年3月、舘鼻則孝が靴の写真を添付して世界各地に送った100通のメールから、思わぬコンタクトが舞い込んだのです。レディー・ガガの専属スタイリストである、ニコラ・フォルミケッティ氏からの連絡でした。

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「1週間後の来日に合わせてすぐにヒールレスシューズを作ってほしい」――このガガの依頼から、舘鼻則孝はレディー・ガガの専属シューデザイナー・シューメイカーとなり一躍脚光を浴びました。今ではレディー・ガガのほか、世界的なセレブであるダフネ・ギネス氏などがこの靴を愛用しています。またその芸術的価値から、ヒールレスシューズはアメリカ・ニューヨークのメトロポリタン美術館やイギリスのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)にも収蔵されました。

参考:
「日本文化を世界に伝える」 舘鼻則孝さん(Asahi Shimbun Digital)
舘鼻則孝インタビュー(六本木未来会議)

 

次ページ:舘鼻則孝の新たな挑戦

 

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