明和電機 常識を超える「ナンセンスマシーン」とは一体?

全く役に立たない製品を制作・販売し続け、23年間にわたり注目を集めている「企業」があります。その名は、明和電機。実はこの明和電機、名前の通りの「電機店」ではありません。明和電機とは、土佐正道氏・土佐信道氏(以下敬称略)兄弟が結成したアートユニットです。

明和電機が手掛ける「製品」は、「ナンセンスマシーン」と呼ばれ、全く役に立たないものの人気が高く、長きに渡り国内外で注目を集めています。一体「明和電機」とは何者で、「ナンセンスマシーン」とはどんなものなのでしょうか。

 

アートユニット「明和電機」とは

明和電機は1993年に結成されたアートユニットです。いかにも電機店かのような「明和電機」というユニット名は、結成者である土佐正道・土佐信道兄弟の父・阪一氏(以下敬称略)が経営していた会社名から取ったそう。結成から今日まで、さまざまな「製品」を世に送り出してきました。

明和電機の特徴は、なんといってもその独特のスタイルです。「日本の高度経済成長を支えた中小企業のスタイル」(明和電機 公式HPより引用)で活動を行っており、明和電機のスタッフメンバーはいつも青い作業服を身に着けています。

(元取締役社長 土佐信道)

あくまで「アートユニット」である明和電機ですが、独自のビジネスモデルを確立しています。まず、大衆向けに製品を製作・販売する「マスプロダクト」戦略と、「製品デモンストレーション」と題してライブ活動を行う「マスプロモーション」戦略から収益を得ます。そしてその収益から、新たな「製品」開発の資金を調達しているのです。

では、冒頭から登場している明和電機の「製品」とは一体どのようなものなのでしょうか。続いて、とことん「ナンセンス」な明和電機の「製品」についてご紹介します。

 

和電機の「ナンセンスマシーン」とは一体?


明和電機の生み出す「製品」はすべて「ナンセンスマシーン」と呼ばれます。「ナンセンスマシーン」の「ナンセンス」とは、「無意味」という意味ではありません。「ナンセンスマシーン」は「常識を超える」マシーンという意味を込められています。

例えば、明和電機の「製品」の中で最も代表的ともいえる『オタマトーン』。8分音符のたまの部分に顔がついたデザインがかわいらしい、明和電機オリジナルの楽器です。


見た目は二胡のようにもみえる『オタマトーン』。8分音符のぼうを指でおさえることで音程が調節ができ、たまについている顔の頬を押して、口を開けることで音色が変わりヴィブラートをかけることができます。かわいらしい見た目とは裏腹に弦楽器のような伸びやかな響きを生み出すこの『オタマトーン』。たしかに「ナンセンス(超常識)」ですよね。『オタマトーン』は日本おもちゃ大賞2010の「ハイ・ターゲットトイ部門」にて大賞を受賞しています。2012年に発売開始以後、12万個を売り上げているというから驚きです。

(くまモンとのコラボレーション製品『くまもトーン』)

『オタマトーン』を始めとする「ナンセンスマシーン」は、「不可解」を「論理」に落とし込むことで命が吹き込まれます。「根本にあるのは自分に対する不可解、または世界に対する不可解です。それを知りたくて作っています」と土佐信道が語っているように、この「不可解」「わからないこと」が「ナンセンスマシーン」の間の源泉なのです。自分自身の中や、世の中で起きるあらゆる「わからないこと」なくして「ナンセンスマシーン」は生まれません。

明和電機に限らず、芸術家の多くの出発点はさまざまな「不可解」でしょう。しかし明和電機のユニークな点は、その「不可解」を表現する手段です。明和電機は絵画や音楽、写真などではなく、機械を選ぶことで唯一無二のスタイルを確立します。答えのない「不可解」を、機械の「論理」に組み込むことで明和電機の「ナンセンスマシーン」が誕生するのです。

「アートを何とか大衆に売れないか。大衆に届けられないか」という思いのもと創作活動に取り組んでいる明和電機。「ナンセンスマシーン」は全く役に立たずとも、一般人の間でも揺るがない人気があります。アートというと高尚な気がしてしまいますが、明和電機の「アート」は笑いと共にお茶の間に届いているようです。

引用・参考:ナンセンスマシーン | 明和電機 | TEDxUTokyo

 

明和電機の歴史

【明和電機展示情報】
11月末から約2ヶ月香港 common room & co.にて展示が始まります。
詳細は随時更新!

Posted by 明和電機 on Thursday, 16 November 2017

「明和電機」という名前はもともと土佐正道・信道兄弟の父である土佐阪一の経営する会社の名前でした。阪一は戦時中に戦闘機の設計に携わるエンジニアで、戦後、1970年に有限会社明和電機を設立。松下電器の下請け工場として繁盛するも、1979年のオイルショックの影響で倒産してしまいした。現在のアートユニット・明和電機が中小企業のスタイルを確立しているのは、この父の町工場の影響もあったといいます。

そして1993年、阪一の息子である土佐正道・土佐信道がアートユニットとして明和電機を復活させます。兄・正道は代表取締役社長、弟・信道(現代表取締役社長)は代表取締役副社長として「ナンセンスマシーン」の開発を始めます。なお、父・阪一は明和電機会長に就任したそう。

それ以降、さまざまな「ナンセンスマシーン」を展開。2001年に正道が早期退職し、信道が社長に就任した後、パリ、ロンドンなど国外の展覧会に幾度も参加。2003年には世界敵に権威のある「アルス・エレクトロニカ/インタラクティブアート部門」で準グランプリを受賞します。

2013年に20周年を迎えた明和電機は、定期的に「ナンセンスマシーン」シリーズをリリースしたり、ライブ活動を行ったりと精力的に活動しています。同年文化庁文化交流使の指名を受けており、一般へ向けたアートの普及・教育活動にも力を入れています。

次ページ:明和電機の「ナンセンスマシーン」紹介

 

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