青森県立美術館、金沢21世紀美術館など、雑誌やキュレーションサイトのおでかけ情報のページを見ると、地方美術館の特集をよく見かけるようになりました。その場所でしか観られない展示も多いことから、旅行の目的として地方美術館へ訪れる方も増えているのではないでしょうか。そんな方々におすすめしたいのが、今回ご紹介する松本市美術館です。
草間彌生のふるさとに佇む 松本市美術館
松本市美術館は、長野県松本市にあり、JR松本駅から徒歩12分、松本城へも徒歩15分ほどの場所にあります。平成14年に誕生した松本市美術館では、草間彌生が松本市出身ということもあり、草間彌生の多くの作品が常設展示されています。
駅からは草間彌生が手がけた走るアート「クサマバス《水玉乱舞》号」も運行しており、目的地となる松本市美術館へ向かう間にも気持ちが高まります。美術館に到着すると草間彌生の手掛けた野外彫刻作品『幻の華』も観ることができます。松本市美術館は、草間彌生ファンにはたまらない美術館ではないですね。
地域に根差した美術館をコンセプトとしている松本市美術館。1階は市民アトリエや講座室など市民が活動するためのスペース、2階は、企画展示会場、3階は、松本市にゆかりのアーティストによる常設展示が観られます。それでは、松本市美術館で現在開催中の展示を2つご紹介しましょう。
松本市美術館で開催中の展示「草間彌生 魂のおきどころ」
草間芸術の「現在」と「原点」が生まれ故郷の松本市で体感できる本企画は、松本市美術館でしか味わえない展示となっております。草間彌生といえば水玉模様。今でこそ彼女の代名詞といえるモチーフですが、そのはじまりは少女時代までさかのぼります。少女時代の草間彌生は、心の中から湧き上がる幻覚との闘いの日々を送っていました。10歳頃には、すでに水玉と網模様を使って絵を描き始めていました。増殖し続けるイメージを小さな紙片に描き留めることが、草間彌生を助けていたのではないでしょうか。
そんな彼女が、アーティストとして認められはじめてから世界に羽ばたいていき、御年88歳になっても進化し続ける姿を本展示で観ることができます。本展示では、全21作品、年代にすると1953年(当時23歳)から2015年(当時86歳)までの松本市美術館所蔵作品を飾っています。
また、草間彌生の作品に一貫して流れ続けるメッセージ、「愛」「憎」「生」「死」「宇宙」を、数々の作品とともに歴史を重ねて観ることで、年代ごとの違いも感じられるのではないでしょうか。約43年間の彼女の活動を観に、松本市美術館まで少し足を伸ばしてみたくなります。
草間彌生 魂のおきどころ
会期:2017年4月6日(木)〜 2018年2月18日(日)
会場:松本市美術館 常設展示室C
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