奈義町現代美術館 アートを身体で感じる3つの部屋

中国山地の秀峰・那岐山を望む緑豊かな大地に、突如として現れる不思議な建物たち。岡山県にある奈義町現代美術館、通称「Nagi MOCA(ナギ・モカ)は、小さな町の公立美術館でありながら唯一無二の個性を放つ美術館として、開館から20年以上経った今も高い人気を誇っています。

奈義町現代美術館のメインとなるのは『大地』『月』『太陽』と名付けられた3つの部屋。そこには3組の芸術家の巨大な作品が、半永久的に展示されています。今回はそんな奈義町現代美術館のコンセプトや3つの部屋を彩る作品、そして建築家の磯崎新氏(以下敬称略)が提唱した「第三世代の美術館」について解説します。

 

 

奈義町現代美術館の概要とコンセプト

奈義町現代美術館があるのは、岡山県勝田郡奈義町。県北東部、那岐山の麓にある人口約6000人の自然豊かな町です。奈義町現代美術館は、作品と建物が半永久的に一体化した美術館として1994年4月25日に開館しました。一般の美術館では収集出来ない巨大な作品を芸術家にあらかじめ依頼し、その作品を収める空間を芸術家と建築家が共同で作り上げていくという、新しいかたちの美術館です。

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奈義町現代美術館は、3つの巨大な作品『太陽』『月』『大地』をメインに、建物の中心にある池に面した喫茶室、年間約10本の企画展を開催するギャラリースペースなどを有しています。南側には奈義町立図書館が併設されており、約7万冊の蔵書が揃っています。奈義町現代美術館は革新的な美術館であり、地域に根差したコミュニティスペースとしての役割も担っています。

参考:
奈義町役場HP
美術館概要(奈義町現代美術館公式HP)
奈義町現代美術館(博物館・美術館情報サイト「ミュージアムカフェ」)

 

 

奈義町現代美術館の建築について 

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奈義町現代美術館を設計した磯崎新は、1970年代以降、多くの美術館を手がける中で美術館の歴史を3つの世代に分類しました。第一世代はルーヴル美術館のように宮殿などを転用した美術館。第二世代はニューヨーク近代美術館(MoMA)のように展示に特化したホワイトキューブ型の美術館。そして奈義町現代美術館は、それに続く第三世代美術館の先駆けとして生まれました。

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磯崎新が奈義町現代美術館を通して提唱した第三世代の美術館とは、展示する場所の特性を生かし、場所と作品が一体化するようなサイト・スペシフィックな美術館です。近年、十和田市現代美術館や金沢21世紀美術館など、様々な個性を持った美術館が続々と誕生し、多くの観光客を集めています。奈義町現代美術館の誕生は現代における美術館のあり方を大きく変え、その後の個性的な美術館の流れを作る大きなきっかけとなりました。

参考:
施設案内(奈義町現代美術館公式HP)
第三代美術館のその先へ(10+1)
第三世代の美術館(artscape)
サイト・スペシフィック(artscape)

 

 

奈義町現代美術館『大地』の部屋

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奈義町現代美術館の入口から喫茶室を抜けると、四角い中庭のような空間に出ます。一面に貼られた水の上には、ステンレスのワイヤーが緩い弧を描いて佇んでいます。宮脇愛子氏(以下敬称略)の作品『うつろひ −a moment of movement−』です。屋根のないその空間では、吹き抜ける風によって作品が静かに揺れ、水面に映り込んだ作品や空とともに刻々と表情を変えます。

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そして通路は大地の部屋へ。コンクリートで囲まれた部屋一面に黒い石が敷き詰められ、その上にも『うつろひ』が。中庭から差し込む光は、壁沿いに続く石板の廊下を進むにつれて届かなくなります。光から闇へ。陽から陰へ。一歩進むごとに変化する空間は、移ろい行く季節や時間、そして人の命を思い起こさせるようです。

5月20日(土)に『ミュージアム×ナイト 奈義MOCA 2017』の2回目を開催しました。
第二夜は、フルート奏者・三尾奈緒子さんの演奏により、展示空間がフルートの澄んだ音色で優しく包まれました。展示室のベンチに腰掛けて演奏を楽しむお客様、…

Posted by 奈義町現代美術館( Nagi MOCA ) on Saturday, 20 May 2017

廊下を歩きながら『うつろひ』を感じるだけでなく、壁沿いに置かれたベンチに座り、時間とともに変化する空間を眺めたり、石を敷き詰めた庭に降りて『うつろひ』の中に身を置いてみたりと、楽しみ方は人それぞれ。また、奈義町現代美術館では空間を生かした演奏会やダンスパフォーマンスなど、様々なイベントも開催されています。

参考:
常設展示作品(奈義町現代美術館公式HP)
企画展・イベント(奈義町現代美術館)

次ページ:奈義町現代美術館『月の部屋』そして『太陽の部屋』

 

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