深澤直人 “ちょうどいい”をつくるプロダクトデザイナー

無印良品店の壁掛式CDプレーヤー、auのINFObarなど製品をデザインしたプロダクトデザイナー・深澤直人氏(以下、敬称略)をご存知でしょうか。今年の夏には、国内初個展『AMBIENT』も開催し話題になった人気のデザイナーです。「ありそうでなかったもの」、「ちょうどいいを感じる製品」を得意とする深澤直人の世界を、デザインした製品を通じて紹介していきたいと思います。

深澤直人のプロフィール

深澤直人は、1956年生まれ山梨県出身のプロダクトデザイナー。多摩美術大学プロダクトデザイン学科を卒業後に渡米し、シリコンバレーに本拠を構えるIDEO(アイディオ)に入社します。IDEO は、Macの初代マウスをデザインした世界でも名高いデザイン会社です。1996年、深澤直人は帰国とともにIDEO東京支社長に就任しました。それから7年後の2003年、ついに深澤直人が代表を務めるNAOTO FUKASAWA DESIGNを設立。シンプルで洗練されており、ありそうでなかった製品をデザインすることで、深澤直人は日本国内のみならず海外でも人気のデザイナーとして知られるようになりました。

 

深澤直人にとっての「デザイン」

活躍し続けるデザイナー深澤直人。彼にとって「デザイン」は、どのようなものなのでしょうか。ザ・インタビュー 深澤直人「デザインというものを考える前に」前編 (design stories より)の中から、デザインに対しての思いを垣間見ることができる言葉をご紹介していきます。

「デザインというものを考える前に、デザインというもの自体が自分の中で概念化される前ですけど、子供の頃、みんなが言ってることは嘘なんじゃないか?と僕は思っていました。嘘っていうか、その、思ってることと違うことを人はやってるんじゃないか」。

まずは、疑うことから。今あるものが、本当にいいものなのかを見定めるには、今持っている価値観を疑うことが大切だと改めて思わされます。

「デザインを知れば知るほど、すればするほど、自分がどうやって生きた方がいいかというようなことを自然に考えるようになる。人間関係とか、働き方や生き方についてもです。しょぼい家や、しょぼいインテリアの破綻した部位が気になるようになる。これがデザイン思考で、デザインは人間の生き方なのです」。

このあとでご紹介する、無印良品、±0の製品を見てもわかるとおり、自分の居心地の良さを大切にしたデザインが多いのは、「デザインは人間の生き方」と語る深澤直人の哲学が表現されているということがわかります。

「雰囲気はいろんなものでできている。そこに入った瞬間とか、そこにいる人とか、あるいはその雰囲気が人間の声を小さくさせたり大きくさせたりもするし、全ての分子みたいなものが、全体の雰囲気、アンビエントを作っている。アンビエントを作り込むためにはその分子を、キャッチアップしていかなきゃいけないけど、一般には難しい。何故こんないい雰囲気だせるの? とか、何故この人はこういう動きをするの? とか。というのを、僕らデザイナーは知っていなきゃいけない。感じられなければいけない」。

「ちょうどいい」という雰囲気や環境を知るには、「ちょうどいい」がどんなことやものができているのか、観察して感じることを常に養う姿勢が必要なのかもしれません。

生きている中で知らない間に概念を押し付けられてしまい、それが自分にとって良いのか悪いのか、合っているのか合っていないのかを考えるまでに至らないことは、実は多々あるのではと思います。そんな考えを根底から疑い続けていくことが、「ちょうどいい」を生み出す深澤直人のデザインに繋がっています。

 

深澤直人監修 無印良品

無印良品の製品の中でご紹介するのは、キッチン家電シリーズです。2014年に、深澤直人監修により新たなラインナップとして冷蔵庫3機種、オーブンレンジ類3機種、オーブントースター、ポップアップトースター、炊飯器、電気ケトル、ジューサーミキサーと全11機種の販売が始まりました。今では、ひとり暮らしをはじめる時に無印良品で家電を揃える人も多く、定番の商品となっています。デザインの特徴は、「程よく暮らしになじむこと」。これは、無印良品の製品すべてにいえることかもしれません。


深澤直人はその「程よさ」を実現するために、家電を壁(家)と人の間にあるモノと捉えてデザインをしました。たとえば、壁に近い冷蔵庫やオーブンレンジは四角く、手元で使う電気ケトルや炊飯器は丸いデザインになっています。人間の体に近づくにつれ、丸みのあるやさしい形のほうが寄り添う感じが出てなじみやすいのだそうです。

また、深澤直人は意図的に他の家電メーカー製品にあるような多くの機能を省き、必要最低限の機能にしています。ですが、炊飯器の天板を平らにして突起をつけ、しゃもじを載せられるような工夫は取り入れるなど、嬉しい「程よさ」は追加され、それが形になっています。デザインも機能も、どんな部屋にも合うという凄さをさらりと実現した家電ではないでしょうか。

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無印良品として最近注目を浴びたのは、成田空港LCCターミナルの家具全体をデザインしたことです。こちらも深澤直人が監修しています。空港は、昼夜空いており、待合の椅子に座る人もいれば寝転ぶ人もいます。そのため、無印良品の脚付マットレスから着想を得て、新しいくつろぎの場をつくることをコンセプトとしました。このように、使われ方や生活を意識した無印良品の製品には、時代の流れをデザインに取り入れながらも本質を見失わない、深澤直人の発想やデザインが活きているのではないでしょうか。

 

次ページ:深澤直人監修の家具ブランド ±0

 

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