直島 地中美術館 モネ作『睡蓮』を彩る建築と光  

アートに出会える島として海外の美術ファンにも名高い、瀬戸内海の島・直島(香川県直島町)。本州や四国とは船便のみで結ばれ、人口は3,100人強(2017年12月時点)というこの小さな島に、厳選した3人の作家の作品だけを展示する地中美術館があります。

わずか3人の作家の作品を、この美術館ではどのように見せているのでしょうか。直島の中でも人気を博する、地中美術館の姿をご紹介します。

 

「ベネッセアートサイト直島」と地中美術館

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地中美術館はよく「ベネッセアートサイト直島」の一環として紹介されます。ベネッセアートサイト直島は株式会社ベネッセホールディングスと公益財団法人福武財団が運営する現代アート活動のことです。直島とその周辺の豊島(てしま)や犬島などで、1980年代後半から各島の人々の協力を得て展開され、日本における長期アート活動として知られています。

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1990年代からベネッセアートサイト直島は、美しい海や人々の暮らす街並みなどを深くアートの目でとらえ、その場所のために考えられた現代アートを設置する、サイトスペシフィック・ワークのスタイルに移行しました。中心となる直島では風景や暮らしの時間に溶け込んだ味わい深いアートが点在し、訪れる人の目を楽しませています。

参考:
ベネッセアートサイト直島 公式HP
直島 観光サイト

地中美術館 自然と共生する建築とそのコンセプト

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地中美術館があるのは、直島の中で「美術館エリア」と呼ばれる観光エリアです。元は棚田状の立体式塩田であったという小高い丘に、海を臨むようにして地中美術館が建てられています。しかし遠くから眺めても、この丘に建築物は見えません。

それもそのはず、地中美術館の建物はその名の通りほとんどが地下に埋められているのです。

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この不思議な建築を設計したのは、世界的な建築家・安藤忠雄氏(以下敬称略)。2004年に開館した当初から地中美術館は「自然と人間との関係を考える場所」をコンセプトとしていました。このコンセプトのために、安藤忠雄は直島の海と緑の美しい景色を損なわないよう、美術館を埋設するという発想を行ったのです。

地中美術館が展示するのは、驚くことに3人のアーティスト、クロード・モネ、ウォルター・デ・マリア氏(以下敬称略)、ジェームズ・タレル氏(以下敬称略)の作品だけです。

地中美術館ではこれらの3作家の作品を動かさない、「恒久設置」という形で展示しています。設置にあたっては安藤忠雄とアーティスト本人、あるいはキュレーターが構想を練り合い、アートと建築が最も生きるかたちの専用空間を創り上げました。この点で地中美術館は、直島のサイトスペシフィック・ワークの考え方を如実に表しているとも言えるでしょう。

参考:Interview With Architect Tadao Ando(the Fashion Post)

 

地中美術館の作品紹介1 クロード・モネ『睡蓮』

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(モネの表現する「自然」をあらわした「地中の庭」)

印象派を代表するフランスの画家、クロード・モネ。モネはその生涯を自然の光を描き出すことに捧げ、「光の画家」とも呼ばれます。

代表作として印象派の語源になった『印象・日の出』や、『積み藁』などが知られていますが、何といっても連作『睡蓮』が一番著名な作品でしょう。モネは40代で緑豊かなジヴェルニーに移り住み、晩年は自作の池“水の庭園”を見つめ、反射する光の様々な変化や、水鏡に映る睡蓮を描き続けました。

地中美術館ではモネの『睡蓮』のうち最晩年に描かれた作品5点が、『睡蓮』のために設計された部屋に展示されています。靴を脱いで部屋に入ると、そこは地中でありながら柔らかな自然光が注ぐ白い空間。正面と側面に5点の『睡蓮』が現れ、訪問者は一気にモネの世界観に引き込まれます。

モネの展示室の光は、自然光(反射光)のみ。開館中に人工の光が灯されることはなく、訪れる時間や天候によってそのつど印象が変わります。刻々と変わる光とその効果をカンバスに描き続けたモネの視線を、追体験できる部屋です。

参考:地中美術館、モネ(室)の魅力― モネ研究者、三菱一号館美術館・安井裕雄氏による勉強会を開催しました。(ベネッセアートサイト直島 公式HP)

地中美術館の作品紹介2 ウォルター・デ・マリアの作品

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ウォルター・デ・マリア(1935~2013)はアメリカのアーティストです。名門・カリフォルニア大学バークレー校で歴史学と美術学を学んだデ・マリアは、1960年代後半から、自然の素材を使用して砂漠や平原に大規模作品を創りだすランド・アートの分野で活躍します。代表作にはニューメキシコ州の『ライトニング・フィールド』や、直島にある『見えて/見えず 知って/知れず』などがあげられます。

地中美術館で展示されているデ・マリアの作品は『タイム/タイムレス/ノー・タイム』です。コンクリート打ちっぱなしの展示室に入ると、奥にかけて広がる巨大な階段の上に直径2.2mの黒い大きな球体が見えます。周囲には金箔を施した木のオブジェが27体据えられており、高い天井と相まって、祭壇のような荘厳さを感じさせています。

この展示室は、やはり空間そのものを考えるデ・マリア本人の指示によって整えられました。モネの部屋と同じく自然光を取り入れており、時間によって変わる太陽光の変化を味わえます。

 

次ページ:地中美術館 ジェームズ・タレルの作品

 

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