川久保玲  COMME des GARÇONSと共に挑戦し続けるデザイナー

2017年5月。ニューヨークのメトロポリタン美術館を、ある女性の作った服が埋め尽くしました。女性の名は川久保玲氏(以下敬称略)。40年以上ファッション界をリードし、挑戦的なスタイルで世界中から賞賛と批判を浴び続けたデザイナーです。

彼女の作る服はなぜ波紋を呼び、そして支持されるのか。今回は川久保玲が作りあげたブランド『COMME des GARÇONS(コム デ ギャルソン)』の歴史をたどりながら、多くを語らない川久保玲が服に込め続けた思いに迫ります。

川久保玲のプロフィール

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川久保玲は1942年に東京で生まれました。慶應義塾大学文学部哲学科を卒業後、旭化成の繊維宣伝部に入社。1967年にスタイリストとして独立すると、仕事で必要な服を自らデザインし、作るようになります。そして1969年に『COMME des GARÇONS(コム デ ギャルソン)』の名で婦人服の製造と販売をスタート。1973年には『株式会社コム デ ギャルソン』を設立し、経営者としても手腕を発揮しています。

寡黙で表に出ることを嫌う川久保玲は、これまで自分自身のことはほとんど語らず、近年はショーのランウェイに立つこともあまりありません。しかし、常に時代の流れに逆らうような川久保玲のスタイルは、発表されるたびにファッション界に衝撃を与え、多くのデザイナーに影響を与えてきました。その功績は国内外で高く評価され、これまでに朝日賞、毎日ファッション大賞、芸術選奨文部大臣賞、英国王立芸術大学名誉博士号、仏国家功労章などを受けています。

参考:
COMME des GARÇONSコム デ ギャルソン(Fashion Press)
コム デ ギャルソン / COMME DES GARCONS(Vogue JAPAN)
デザイナー:川久保玲(かわくぼれい)Rei Kawakubo(コムデギャルソン店舗マップ)
川久保玲さんロングインタビュー ファッションで前に進む(朝日新聞)

 

川久保玲と『COMME des GARÇONS(コム デ ギャルソン)』

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フランス語で「少年のように」という意味を持つ『COMME des GARÇONS(コム デ ギャルソン)』は、時代や流行に流されない独自のスタイルで、創業当初から注目を集めていました。1975年には 東京コレクションに初参加し、直営店である青山店もオープン。自立した強い女性をイメージしたモノトーンのスタイルは熱狂的な支持を集め、80年代には黒服におかっぱ頭というスタイルが流行し、「カラス族」と呼ばれ社会現象となりました。

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国内で確実な実績を残した川久保玲は、1981年に初めてパリコレに進出。翌年にはパリ法人『COMME des GARÇONS S.A.S』を設立します。身体のラインを強調する色鮮やかな服が主流だったパリで、川久保玲が発表したのは真っ黒で穴だらけのゆったりとしたニット。当時のファッション業界をバッサリと切り捨てるようなそのスタイルは、同時期にパリに進出した山本耀司氏とともに「黒の衝撃」と呼ばれ、ファッション界の革命として現在も語り継がれています。

ニューヨークに『COMME des GARÇONS S.A.S』を設立した1986年には、パリのポンピドゥセンターにて写真展『MODE et PHOTO』を開催。さらに翌年にはニューヨーク州立ファッション工科大学(通称FIT)にてマドレーヌ・ヴィオネ氏、クレア マッカーデル氏と共に3人展を開催します。1988年には顧客向けのビジュアルマガジン『Six』を刊行。90年代になり黒を用いたファッションが一般的になると、今度はカラフルな服を展開するなど、時代に流されない独自のスタイルで、常に新しいものを提案し話題となりました。

その後も川久保玲は独自の感性でアバンギャルドな服を作り続けます。1997年春夏コレクション『Body Meets Dress−Dress Meets Body』で発表されたのは、ストレッチ素材の生地に羽毛を詰め、身体のラインを変形させてしまう通称「こぶドレス」。そのあまりにも奇抜なデザインに、批判的な意見も少なくありませんでした。しかし川久保玲が恐れていたのは、批判されることではなく絶賛されることでした。

参考:
COMME des GARÇONSコム デ ギャルソン(Fashion Press)
ただの変な服だと思っていませんか? コム・デ・ギャルソン 74歳、川久保玲の本当の凄さ(Buzz Feed News)
コレクション:1997 S/S COMME des GARCONS(コムデギャルソン店舗マップ)

 

川久保玲を突き動かす反骨精神

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2005年の秋冬コレクション『Broken Bride』。ウエディングドレスをテーマにしながら、黒を多用しスニーカーやパンツスタイルを取り入れたデザインは、『Vogue』誌において「高尚なコンセプトと美しい服」と絶賛されました。それに対し川久保玲は『The New York Times』において「そんなに解りやすいものを作ってしまったかと不安になります」と語っています。常に予想を裏切り、新しいものを作り続ける川久保玲にとって、理解されることは危機だったのです。

そして川久保玲の反骨精神は、ある挑戦へと繋がっていきます。それは「服でない服」を作るということ。2014年春夏コレクション『Clothes That Are Not Clothes』では、ゴミからリサイクルしたかのような素材を使用。服の柔らかさや美しさを覆い隠し、着られることを拒むような服が次々とランウェイに登場しました。40年以上服を作り続けてきた川久保玲がたどり着いた、究極とも言える境地。しかしそれも川久保玲にとってはひとつの通過点でしかありません。『COMME des GARÇONS(コム デ ギャルソン)』は常に新しいものを求め、進化し続けているのです。

参考:
川久保玲の寡黙、ギャルソンの雄弁(i-D)
コレクション:2005 A/W COMME des GARCONS(コムデギャルソン店舗マップ)
コレクション:2014 S/S COMME des GARCONS(コムデギャルソン店舗マップ)
Collection / 2014春夏プレタポルテコレクション / パリ COMME DES GARCONS(Vogue JAPAN)
川久保玲:が表現する抽象的な怒り。| スージー・メンケス(Vogue JAPAN

 

次ページ:川久保玲がMETを彩るコムデギャルソン展

 

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