「フェムテック」という言葉をご存知でしょうか?female(女性)とtecnology(技術)を掛け合わせた言葉で、テクノロジーを活用し女性特有の健康問題をサポートしたり、妊娠に関連ための製品やサービスの総称です。2016年にデンマークのある女性起業家が積極的に使い始めたことで、考え方が欧州を中心に広がり、以降フェムテック市場は拡大しています。ここでは、フェムテックの考え方や、注目を浴びるフェムテック企業やサービスを調査します。
“フェムテック”とは?
フェムテックとは、female(女性)とtechnology(技術)を合わせた造語で、女性特有の健康問題を改善し、女性の生活を向上するためのソフトウェアや、テクノロジーを活用した製品やサービスを指します。
2016年に、デンマークの女性起業家であるイダ・ティンさんが、自身の開発した生理日予測アプリを広めるために「フェムテック」という言葉を積極的に使い始めました。それまでも、女性の健康に焦点を当てた技術やサービスはありましたが、具体的かつキャッチーな言葉が広がったことで、市場の拡大につながったようです。
FemTech Founder, @idatin of Berlin’s @clue names her top 5 startups within the segment 👉 https://t.co/d6jdDEOoaB via @Siftedeu #BerlinStartups pic.twitter.com/CzYNxDDxLJ
— Silicon Allee (@siliconallee) April 19, 2019
NHKのインタビューでイダ・ティンさんは次のように話しています。
「すでに女性の健康問題に取り組む企業がたくさんできていて、大きな、新しいビジネスの分野になると思いました。それを1つにまとめ、メディアや投資家の注目を集めるには、それがひと言でわかる“ことば”が必要だった。『フェムテック』ということばを使うことで、この分野についてより活発でオープンな議論ができるようになりました」
コンサルティング 会社のフロスト・サリバン社の予測によると、2025年には世界のフェムテック市場規模が50兆ドルにまで拡大する可能性があります。アメリカの2020年のGDPが22兆ドルから考えると、規模の大きさが分かりますね。
同社の分析によると、労働市場における男女平等が進んだことで、女性がより経済力を持つようになり、消費者としての存在感が増していることが背景にあるようです。ちなみに、「女性の消費行動が動かす経済」は、She(彼女)とEconomy(経済)を掛け合わせて「SHEconomy」と呼ばれ、近年注目されています。
フェムテックの製品やサービスには、生理、妊娠、出産、更年期、性生活、乳がんや子宮がんなど女性特有の病気やメンタルヘルスに関するものなど、多岐に渡ります。生理日を管理するアプリは使用している女性は多いと思いますが、これも立派なフェムテック。ここからは、あっと驚くようなフェムテックの事例を紹介していきます。
フェムテック紹介①ナプキンいらず!吸収力抜群の生理用ショーツ
多くの女性にとって憂鬱なもののひとつが、生理ではないでしょうか。特に経血量が多い場合、漏れる心配があったり、頻繁にナプキンやタンポンを変える必要があったりしてストレスの種になりがちです。
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そんな女性に朗報です。近年、ナプキンやタンポンがいらない、吸収力や消臭効果に優れた画期的なショーツが生まれています。その代表格が、THINXの生理用ショーツ。吸収や消臭に優れた繊維が複数の層になっており、「タンポン4つ分」の吸収力があるとしています。
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また、経血量や活動に応じて、いろいろな種類のショーツを用意。お手入れも簡単で、洗濯機に入れるだけです。他のものと一緒に洗っても、汚れがうつる心配はないそう。他にも海外メーカーもModibodi、Wukaや、国内メーカーのPeriod. も同様のショーツを開発、販売しています。値段は普通のショーツよりはお高めですが、ナプキンやタンポンがいらない分長い目で見ればとってもお得です。
Thinx 商品ページ:https://www.shethinx.com/pages/thinx-it-works
フェムテックの事例紹介② まるでジュエリー!装着型のヘルストラッカー
生理日の管理、予測アプリは日本でも馴染みのあるフェムテックですが、Bellabeat社が開発した「Leaf Urban」は一見リーフ型のジュエリーのようですが、見た目が美しいだけではなく、中身もとっても優秀。身に付けているだけで、睡眠時間や運動量などを記録してくれるほか、生理日予測機能やストレスアラートなどの機能も備えています。女性の健康をトータルで管理、サポートしてくれる装着型のヘルストラッカーなのです。
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ブレスレット、ネックレス、ブローチに付け替えができるため、活動やスタイルに合わせて選ぶことができます。防水加工されているため、シャワーや洗い物でも外す必要はありません。体調や生活スタイルを記録することで、思わぬ健康の課題が見えてくるかもしれません。
Bellabeat Leaf Urban商品ページ:https://www.bellabeat.com/products/leaf-urban
フェムテックの事例紹介③ 時間を有効活用!自動搾乳器
Elvie社の搾乳器は下着の内側に身に付けるだけで搾乳ができます。自動で動き、手で支える必要がないので、搾乳中でも仕事や家事ができます。連動しているアプリでは、搾乳のオン/オフの切り替えができるほか、乳の量や頻度などが記録しています。簡単に搾乳ができるだけでなく、胸や乳の状態も確認できます。
Elvie Pump商品ページ:https://www.elvie.com/shop/elvie-pump
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女性が健やかに暮らすために 今後さらに注目のフェムテック
いかがだったでしょうか。他にも、不妊治療や産後の身体のケア、性生活のためのテクノロジーを活用した製品やサービスが各国で次々と生まれています。日本ではまだまだタブー視されることが多い分野ですが、フェムテックという言葉や考え方が広がることで、女性がよりオープンに身体の問題を考え、語れる社会になっていくのではないでしょうか。
参考文献
WIRED 『女性の生理の悩みにテクノロジーで立ち向かう:進化する「フェムテック」の企業たち』
Frost Sullivan “FEMTECH Digital Revolution in Women’s Health”
NHK WEB 『女性の健康をサポート! 急成長する“フェムテック”市場』
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